川田太鼓工房 - 郡青ひなたweb - Page 2
郡青ひなたweb

二本松のちょうちん祭りでの太鼓台。
2011年10月5日撮影。
南会津新そばまつりで披露された「龍巳会」のステージ。
2011年10月9日撮影。
バチだけでこの量。これだけ揃えている店はなかなか見られない。

祭りと共に育った会社

 商品のラインナップは多岐に及ぶ。中でも人気なのは、川田太鼓工房オリジナルの「ハイテク太鼓」だ。
 一般的な長太鼓は1本の木からくり抜いて作るが、ハイテク太鼓は一枚一枚の木を組み合わせていく「ブロック工法」と呼ばれる技術を使う。大木がなくても大きい商品が作れ、その分価格を大幅に抑えることができる。音も、くり抜き胴の太鼓と大差ないレベルにまで引き上げた。
 また、「当社は祭りに育てられた会社」と弓田社長が語るとおり、前述の二本松のちょうちん祭りをはじめとした、県内外多くの祭りで使用される太鼓を生産してきた。これらは「締太鼓」と呼ばれる種類のもので、長く川田太鼓工房が手がけ続けている自信作である。祭りの雑踏の中でも、音が突き抜けて聞こえてくるのが特徴だ。厚い皮でないとそういう音にはならないのだが、手縫いなので厚ければ厚いほど縫うのは難しくなる。職人の腕の見せ所なのだ。
「お祭りの際は、よその町には負けたくないと、より良いものを作るよう注文をいただきます。その分、長く大切に使われ、メンテナンスにわざわざこちらまで来ていただいたりと、お客様との深いお付き合いが生まれるのです。それが何より嬉しい」と弓田社長。
 二本松のちょうちん祭りには、弓田社長も毎年参加している。地域を見つめ、地域の人達の想いに応える。祭りと共に会社が育つとは、そういうことなのだろう。
 なお、地元田島では祇園祭の時に山車の上で太鼓を叩くという習慣は見られなくなってしまった。だが、祇園祭の町として太鼓を広めていこうという動きはやはり根強い。同好会や子供達が演奏を行なっており、そこではもちろん川田太鼓工房の製品が使用されている。
「私達は日本の伝統文化を支える縁の下の力持ち。お祭りなどで、是非太鼓の魅力を知り、興味を持ってください」

太鼓に付随する様々なものを作っていく

「今後はお客様の希望に応じ、お祭りに関連する様々な製品の生産を行いたい」と弓田社長は語る。たとえば太鼓台の修理、車輪(わっぱ)の修理や製作などだ。これまでもお客さんから、「太鼓のメンテナンスと一緒になんとかお願いしたい」という声が上がっていたそうだ。それに応えられるよう、出来る範囲で業務の幅を広げていく方針だ。
「私達は日本で一番愛される太鼓屋になりたいんです」と弓田社長。
 太鼓に付随するあらゆる業務を視野に入れることで、お客さんとのより濃密な関係を構築していく。ひいては、それが太鼓を中心とした伝統文化の発展にも寄与することとなるのだろう。

 また、川田太鼓工房では、現在下郷町の弥五島(やごしま)に練習場を所有しており、高校の合宿など一般に貸し出しを行なっている。高台の上にある廃校となった小学校の校舎跡を利用しており、大きな音を出しても問題ない。心ゆくまで練習ができ、100台近い太鼓を完備していることもあり、毎年リピーターでいっぱいになるのだそうだ。
「太鼓に興味のある人を増やし、思う存分練習してほしい」という思いがあってこその施設だ。
 ここで合宿を行った高校からは全国優勝校も生まれ、そのお礼で高校生達がこちらに来て演奏を行ったりと、地域交流も活発になった。
「今後も太鼓を様々な形で広めていきたい」と弓田社長。一つの会社という枠を超え、田島発の文化の一つとして、県内外に広まっていくだろう。
 なお、練習場は要予約。事前のお問い合わせを。

情報が古い、掲載が不適切な事項などありましたら、お問い合わせフォーム、あるいは以下コメントよりお知らせください。特に当事者の方や地元の方、何卒ご教示ください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です