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田島祇園祭屋台歌舞伎

南会津町田島地域では古くから「子ども芝居」の歴史があり、現代でも子供達による歌舞伎の上演が行われている。2011年からは大人歌舞伎も始まり、ますます文化的な盛り上がりを見せ始めている。人々が大切に育んできた、この町の歌舞伎の魅力に迫る。

写真:2013年8月に西部地域で行われた「大桃夢舞台」より。田島の子供達による歌舞伎の公演。

取材ご協力:南会津町教育委員会
お問い合わせ:南会津町教育委員会 (TEL 0241-62-6311)
一部撮影ご協力:熊川紘一さん

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祗園祭での大屋台。運行中はこのように子供達を乗せる。
祗園祭での子供歌舞伎の様子。2011年の祗園祭にて。この日はあいにくの雨だった。
2013年8月に西部地域で行われた「青柳歌舞伎の夕べ」より、大人歌舞伎の様子。青柳の舞台に関してはこちらのページをご覧ください。
田島小学校で行われた、歌舞伎発表会の様子。町の人達も楽しみにしている。

 会津田島祇園祭では、祭礼の期間中、4台の屋台が歌舞伎の上演をしながら町を練り歩く。屋台は若者達に引かれ移動していくのだが、「芸場」と呼ばれる場所で運行を止めて歌舞伎を上演する。1つの演目は7つに区切られており、運行と上演を繰り返しながら、芸場に到着するごとに順番に上演していく。
 2011年からは大人歌舞伎も演じられるようになったが、それまでは専ら地元の子供達による子供歌舞伎であった。歴史的にも、幕末頃から「子ども芝居」が上演されていたと言われている。明治初期に「教育上好ましくない」という理由から中止されるが、平成4年に保存会が設立され、およそ120年ぶりに復活。以降、子供達の活躍の場となった。
 歌舞伎の受講生は毎年募集している。保育所の子供から高校生まで幅広い年代の「歌舞伎をやってみたい」という子が集まってくる。メインとなるお披露目の場は7月の祇園祭だ。上演へ向けて4月からみっちり練習をする。その後も、8月の大桃夢舞台(西部地域)が続く。
 歌舞伎を通し、子供達は地元に愛着を持ち、礼儀作法を身に付ける。演目も地元に根差したものが多く、泣かせ所が多い。見るにあたって「子供だから」という先入観は捨てた方がいいだろう。実に堂々としており、演技のレベルも高い。
 また、町でも子供達への歌舞伎の伝承に力を入れている。田島小学校では3年生を対象に「総合的な学習」の時間に歌舞伎の指導が行われている。
 2011年の10月に同小学校で行われた発表会を、筆者も拝見した。専門家が教えに来ているというだけあり、圧巻の演技であった。祇園祭で舞台に立つ子供に才能があると考えるのではなく、どんな子供にも、教えればそれを吸収できるだけの柔軟な能力があると考える方が妥当なのかもしれない。
 町では今後も子供達への指導を通し、地域の魅力を伝え、後継者の育成にも取り組み続けたいとしている。

 また、先述したとおり、2011年からは大人歌舞伎の発表にも踏み込んだ。町の大きな文化資源である歌舞伎を、より広くアピールしていきたいという思いと、子供歌舞伎の指導者が高齢化してきているため、将来の指導者の育成を行いたいという思いとがあった。
 2011年は最初ということもあり、参加したのは企画をした教育委員会の職員自身。主役の1人として活躍し、生涯学習課で歌舞伎の発展にも尽力している猪股淳(いのまたあつし)さんは「まずは自分達自身が演じることで、町の皆さんに魅力を伝えたかった。面白そうと思ってもらうことで、参加してくれる人が増えてくれると嬉しい」と思いを語る。
 東京から専門家を招聘(しょうへい)し、祇園祭に向けて練習を重ねた。過去に子供歌舞伎を経験したことのある人もいたが、多くは一から始めた人。仕事をしながらなので、練習は週に1、2回になってしまう。そんな中、1ヶ月程で技巧的な舞を習得した。この舞が見所の1つであり、子供歌舞伎には見られない特色だ。
「大人歌舞伎経験者から指導者が生まれ、子供達へ魅力を伝えていく。そして子供歌舞伎を経験した子が、将来大人歌舞伎へと仲間入りする。そういう循環をつくっていきたいです」と猪股さん。「今後はより歌舞伎への理解を深め、お化粧や着付けなどを含め、地元で全てまかなっていけるようにしたい」と展望を語る。

 さらに、田島地域での試みを元に、西部地域でも歌舞伎を復活させていきたいとのこと。2013年8月には、伊南(いな)地区の青柳(あおやぎ)にて「青柳歌舞伎の夕べ」が行われ、大きな成功を収めた。伊南川流域も、古くから歌舞伎の歴史を持つ地域であり、南会津町全体で歌舞伎に取り組むことによって、町をもっと活性化させていきたいという考えだ。
 まだ始まったばかりの取り組みではあるが、大人歌舞伎は徐々に見所を増やしていく予定だ。南会津町で始まった取り組みに、今後も注目していきたい。
 なお、西部地域における歌舞伎の歴史についてはこちらのページをご覧ください。

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