護法山 高林寺 - 郡青ひなたweb
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東和地区の名所となった「あじさい寺」

曹洞宗(そうとうしゅう) 護法山(ごほうざん) 高林寺(こうりんじ)

取材ご協力:第26世住職 塚原真禅(しんぜん)さん

護法山 高林寺
二本松市太田字西田1
TEL 0243-47-3407

紫陽花について
高林寺内:5,000株
三浦次夫氏宅(寺向かいの檀家さん):3,000株
紫陽花ロード:約5キロの範囲に8,000株
見頃:いずれも6月下旬〜7月中旬

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雨に濡れた紫陽花の花。7月7日、高林寺内。
高林寺紫陽花散策路入口から。
本堂の天井絵。
裏庭の庭園。
向かいの檀家さんの敷地。こちらも見事だ。

 東和地区の高林寺は、通称「あじさい寺」とも呼ばれ、紫陽花の名所として知られている。6月下旬から7月中旬の見頃になると、県内外から多くの人が訪れる。

 まずは歴史の概略を記したい。始まりは室町時代の応永(おうえい)年間(1394~1427年)のこと。仙台にある洞雲寺(どううんじ)実庭祥秀大和尚(じっていしょうしゅうだいおしょう)により開山、東和地区太田高槻(たかつき)の高槻四郎兵衛(しろうべえ)により開基された。以降600年余りの歴史を刻む。この太田高槻という場所は現在地から400メートルほど西に位置するが、宝暦(ほうれき)年間(1751~1763年)の火災により建築物・書類等を消失、宝暦11年(1761年)に現在地に本堂が再建された。
 現在では「あじさい寺」として初夏の美しさですっかり有名になった。特に1993年7月17日に、故・石原裕次郎氏の7回忌大法要が「あじさい忌」として営まれた際、当寺から3000本の紫陽花を提供したことで注目を集めた。青い花で海を、白い花でヨットを造形し、氏の好きだった風景が紫陽花で見事に再現された。これには裕次郎氏の眠る総持寺(そうじじ)(横浜市)が、当寺の宗派・曹洞宗の大本山であることや、7月中旬は関東での紫陽花の見頃が過ぎていることなどから、スポットが当たるための、いわば「仏縁」があったと言える。

 もちろん、現在の華やかな姿は一朝一夕で出来上がったものではない。当寺で紫陽花の植栽が始められたのは、およそ40年前の昭和55年のこと。そこから徐々に数を増やしていき、現在に至る。きっかけは、先代の住職が檀家さんのところへお盆の棚経(たなぎょう)(盆棚の前でお経を上げること)へ行った際、庭先に咲いていた紫陽花を数本分けてもらったこと。それを本堂へお供えした後、試しに挿し木を試みたところ、うまく根付いたのだそうだ。その年は大雪で杉が大分折れてしまったこともあり、その代替として活発に挿し木した。園芸番組なども参考にし、紫陽花の数は着々と増えていった。
 現在、高林寺には5000株、植栽に協力した向かいの檀家さん宅に3000株が植えられている。さらに、紫陽花の見頃である7月第1日曜日に東和地区でロードレース大会が行われるため、当時の東和町教育委員会が主導となり、道路にも8000株が植えられた。合計で実に16000株。紫陽花の時期の高林寺周辺は、誠に華やかである。

 例年6月下旬頃から徐々に見頃となっていき、7月上旬に最盛期を迎える。ただし、その年の気候により多少の前後はあり、取材をした2012年は7月中旬に見頃を迎えた。おすすめの場所は、本堂から六地蔵の横を上っていった周辺や、展望台などだ。上方からは眼前の山の風景も併せて見ることができる。晴れの日よりも雨の日の方が美しさは際立ち、中でも夕暮れ時の薄暗い時間帯が最も鑑賞に適している。青さが際立ち、紫陽花がくっきりと映えて見えるからである。
 観覧の後には是非本堂にもお参りをしたい。ここの天井絵194枚は一見の価値がある見事なものだ。これは福島市在住の画家、中井恒峯(こうほう)氏やその弟子達、絵を愛好する檀家さんによる作品で、豪華絢爛である。特に内陣140枚は中井氏一人による圧巻の作品である。また、しっとりとした風情を味わいたければ、庭園となっている裏庭を見てみるのもいいだろう。
「紫陽花と一緒に是非お参りもし、心を癒していってください」と第26世住職の塚原真禅さん。通常のお寺の業務をこなしながら、散策路の整備、剪定、案内看板の設置等を行なっている。
「観光寺ではないので、基本的にはありのままです。来訪の皆様には気楽に見ていただきたいと思います」
 見物料、拝観料といったものは特別設けておらず、観覧は自由。拝観者のお賽銭が整備への大きな力となっている。現状は新しく植える場所がなくなってきているとのことで、「毎年変わらず見ていただけるように、環境の維持に努めていきたい」とのことだ。

 どうしても出不精になってしまう梅雨の季節。情緒を感じられるお寺の紫陽花は、雨の日こそ美しい。夏になりきる前のこの時期に、季節の情緒を味わいに行ってみよう。

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