安達ヶ原 鬼婆伝説 - 郡青ひなたweb
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安達ヶ原 鬼婆伝説

天台宗 真弓山(まゆみざん) 観世寺(かんぜじ)

写真:阿武隈川ほとりの黒塚。お寺から歩いてすぐだ。

取材ご協力:真弓山 観世寺 中村孝純(こうじゅん)さん

真弓山 観世寺
二本松市安達ヶ原4-126
TEL 0243-22-0797
拝観時間:9時~16時30分

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観世寺。国道4号より県道62号原町二本松線へ入り、阿武隈川を渡ってすぐ左。
観世寺内、鬼婆が棲んだ岩屋と言われる笠石。
白真弓如意輪観音堂。

現代を生きる私達に、たくさんの教訓を投げかける

 国道4号から旧東和(とうわ)町方面へ県道を入ってすぐ、阿武隈川のほとりにひっそりと「黒塚(くろづか)」が佇む。
ここ安達ヶ原は「鬼婆(おにばば)伝説」が伝わる地。二本松の悲しい伝説の一つとして知られるこの伝承の顛末は以下のようなものだ。

 その昔、京都のある公家屋敷に「岩手(いわて)」という名の乳母がいた。彼女は姫が生まれながらの病に苦しんでいることに心を痛め、「妊婦の生肝(いきぎも)を飲ませれば治る」という易者の言葉を信じ、みちのくへと旅立った。そして辿り着いたのが安達ヶ原の岩屋である。
 そうして訪れたある晩秋、伊駒之助(いこまのすけ)恋衣(こいぎぬ)という名の若夫婦が一夜の宿を求め訪ねてきた。恋衣は妊娠しており、たまたま岩手の前で産気づいてしまう。
 岩手はこの時とばかりに、伊駒之助の居ぬ間を見計らって恋衣に刃を向けた。しかし恋衣が身につけているお守袋が、岩手に悲しい現実を突きつける。
 恋衣は、自分が昔別れた実子だったのだ。岩手は気が狂い、鬼と化してしまった。以降、宿を求める旅人を次々に殺していく。

 それから数年が経ち、紀州熊野の僧である阿闍梨(あじゃり)祐慶(ゆうけい)東光坊(とうこうぼう)がこの地を訪ねてくる。
 祐慶もやはり鬼婆に殺されかけるが、(おい)(※)に安座する如意輪観音(にょいりんかんのん)に向かい、必死に祈願したところ、尊像が遥か上空へと舞い上がり、光を放ちながら白真弓で鬼婆を退治してしまった。
 祐慶は鬼婆を阿武隈川のほとりに葬り、そこが現在の黒塚であると言われている。

 この如意輪観音が祀られているのが、黒塚近くの「真弓山 観世寺」だ。
 住職の中村孝純さんは、「観音様自らが罰を下されたことからも分かるとおり、悪い行いには必ず報いがあるのです」と語る。
 人の「情」とは何なのか。様々なテーマを、現代の私達に問いかけているように思う。

※笈…諸国を行脚する時、修行僧が仏具や衣服を入れて背に負う箱

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