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二本松の秋を彩る 菊の祭典

二本松の菊人形

取材ご協力:二本松市産業部観光課
参考文献:「菊人形今昔 団子坂に花開いた秋の風物詩」文京ふるさと歴史館 編 / 平成14年 文京区教育委員会、「菊人形ガイドブック」川井ゆう 著 / 1999 ふみづき舎

日程:例年10月中旬~11月中旬 午前9時~午後4時まで
会場:県立霞ヶ城(かすみがじょう)公園

※情報提供ご協力のお願い※

 このサイトでは、主に2007年~2013年にかけて取材をした記事を掲載しています。そのため、情報が古くなっていたり、掲載が不適切なものがあるかもしれません。
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2013年、新島八重と会津藩士。「荒城の月」
2014年、二本松の提灯祭り。
2015年、吉田松陰と高杉晋作ら。「松下村塾の四天王」
2000本以上の花が咲く千輪咲き。
菊花品評大会出展の花々。
華やかに飾られた五重塔。

 二本松の秋は華やかだ。10月初旬の提灯祭りにはじまり、市内各所でお祭りやイベントが開催される。霞ヶ城公園で行われる菊人形は、その中で最もよく知られ、二本松の秋を象徴する行事の一つである。

 菊人形は江戸の植木屋によって行われていた菊細工をルーツに持つ。これは江戸時代の文化年間(1800年代初期)に始まったとされ、花を別のものに見立て、動物や風景などを小菊で造形したものである。この時代は庶民が菊の栽培に親しんでいたこともあり、地方からわざわざ見物人が訪れるほどの人気を博していた。
 これが徐々に歌舞伎の演目を模した菊人形へと形を変えていき、明治9(1876)年には東京の団子坂(だんござか)菊人形が、東京府に願い出て正式に興行化するに至っている。菊人形はまさに隆盛を極め、江戸発祥の一つの文化として徐々に全国へと広まっていった。
 二本松では、江戸時代に松山善太郎(ぜんたろう)が江戸伝統の菊栽培技術を持ち込んだことが始まりである。当時の藩主・丹羽(にわ)氏も庶民に菊栽培を推奨していた。明治時代になるとより普及が進み、愛好者の数も多くなっていった。やがて有志達により、神社の境内を舞台に菊花展、菊人形展が開かれるようになっていく。県立霞ヶ城公園を会場に大々的に開催されるようになったのは、昭和30(1955)年からのことである。以降、今日まで欠かさず開催されてきた。

 この人形であるが、毎年同じ物が出ているわけではない。コンセプトが決められ、それに沿って造られているのだ。ここ20年程はNHKの大河ドラマからテーマを選出してきた。菊人形は江戸時代から普及してきた歴史もあって、基本的に洋装には馴染まない。そのため「歴史的なもので皆が知っているテーマ」を選ぶと、大河ドラマが最適だったのだ。
 制作は菊師・人形師・大道具師などと呼ばれる人達の手により行われている。皆その道の専門家で、特に下地である胴殻(どうがら)を作るには、修行に10年以上の歳月が必要だと言われている。
 まずは骨格を組んで巻藁(まきわら)という紐を巻き、胴殻を造っていく。そこに菊の着物を着せていくのだが、衣装に使用するのは小菊の中でも茎の曲がりの良いものに限られている。これは菊付けをしやすくするためで、このために「人形菊」が特別に栽培されているのだ。一束に花が150本程ついており、一体につきそれを30束程度使う。そこに頭や手足などを取り付けて完成だ。
 展示後の世話も欠かせない。水苔で根を巻くことにより、ある程度の保湿性は保たれている。それでも1日に何度も根の部分に水をやらなければならない。このような知恵と努力があり、期間中は2回程度の着せ替えで済んでいるのだという。もっとも、この衣装替えが見る側には却って面白い。衣装が変わると、同じ人形でもどことなく違った印象を持つ。菊が最も見頃を迎えるのは11月初頭だと言われているが、シーズンの前と後ろで見比べてみるものいいかもしれない。

2012年、八重の桜。
2012年、二本松少年隊。

 執筆年である2012年のテーマは「平清盛」(2012年大河ドラマ)、「八重の桜」(2013年大河ドラマ)、二本松少年隊(郷土史)の三本だ。先述したとおり、大河ドラマに沿って毎年テーマは変えられている。新たな人形はどんな造形となるのか、年ごとの楽しみである。
 なお、会場では、人形以外にも「千輪(せんりん)咲き」に注目したい。入口付近に堂々と佇み、訪れる人々の目を一番に引きつける。二本松の場合、言葉通りに一本の茎から1000以上の花を付けた円形の大輪を見ることができる。本数の少ないものは数あれど、1500本以上の大輪を作り出すのは至難の業。中には2000本を超える大作もあり、ここまでの数に及ぶものはとても珍しい。温度や水の管理などを徹底し、一年半を「一年」と花に認識させることにより、このような大輪ができあがるのだという。愛好家達の粋が凝縮され、何とも華やかで美しい。
 県の愛好者達の菊が集結する菊花品評会も、2年ぶりに開催となった。色とりどりの自慢の菊が、会場に賑わいを添えてくれる。丹誠込めて育てられた花々を見ていると、菊栽培、菊人形への人々の想いが伝わってくる。来場の際には併せて注目したい。

 例年、霞ケ城の紅葉も菊人形の開催と時期を同じくして訪れる。染まりゆく木々を眺めながら、二本松の誇る伝統行事をゆっくりと楽しみたい。

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