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田島から全国へ
日本一愛される太鼓工房に…

川田(かわだ)太鼓工房

取材ご協力:取材ご協力:株式会社川田太鼓工房 弓田清典さん

株式会社川田太鼓工房
本社
〒967-0006 南会津郡南会津町永田堂前2254
TEL 0241-62-4138 FAX 0241-62-0749 フリーダイヤル 0120-4138-66
東京支店
〒155-0031 東京都世田谷区北沢3-17-3 TEL 03-5478-0871
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 川田太鼓工房は国道121号、田島ドライビングスクール前に本社・工場を構える和太鼓専門メーカーだ。二本松のちょうちん祭りで使用される太鼓の大半を手がけるなど、県内のお祭りや文化を担う一翼となってきた。
 創業は1979年。先代の川田久義(ひさよし)さんが町内の針生(はりゅう)に開いた。その後、1982年に現在地に移り、徐々に事業を拡大、現在は東京や千葉にも支社やグループ会社を、また全国規模で代理店を構え、広く太鼓の生産を請け負っている。

工房で製作にあたる職人。若手も多いが、伝統を守りながら、確かな技術を発揮する。
くり抜かれた胴。ここから様々な工程を経て、製品の形になっていく。
このようにくり抜いた後は自然乾燥をさせておく。お客さんの注文に応じて、出番を待つ。
川田太鼓工房が誇るラインナップの一部。

良質な国産の木にこだわりぬく

 川田さんはもともと東京・浅草にある太鼓工房で職人として働いていた。当時から太鼓の胴は南会津方面より運ばれてくるものが多く、太鼓職人として南会津という地への馴染みは深かったのだという。その後、縁あって田島に移り、独立して工房を始めた。
 山国・南会津は古くからブナ、トチ、ケヤキなどの宝庫であった。木地師(きじし)の文化も根付く地域で、木は人々にとって身近な存在であった。昭和の時代には太鼓の胴の一大産地として名を馳せ、特に戦後はチェーンソーの普及や物流の発達もあり、南会津産は非常に大きく躍進した。
 だが、現在は太鼓になるような大木はあまり残っていない。戦中、戦後で大部分が切られてしまい、大木が残された部分は国有林として保護されているのだ。
 現社長の弓田清典(ゆみたきよのり)さんは、「それでも極力国産を使うのが当社の方針」と語る。南会津産だけではまかないきれなくなったため、日本各地から良質の木を集めてくる。「日本の伝統芸能で使われるものだからこそ、日本の材料で作りたい」という理念が根底にあるのだ。
 また、国産の木と外国産の木を比較したとき、たとえ同じ木であっても粘りが違うのだそうだ。特に南会津の木は、厳しい寒さの中だからこそ、強く丈夫に育つ。太鼓のバチで比較すると、外国産のものはスパッと折れてしまうが、国産のものは粘りに粘った末にゆっくりと折れていくのだという。四季の気温差が、日本の木を良質に育て上げているのだろう。

およそ9割が受注生産。希望に応じた商品を

 木を仕入れてからの工程は長い。たとえばケヤキの木なら1年ほど寝かす。これは木の持つ応力(おうりょく)(暴れる力)を抜くためで、固い木ほどこの力が強いそうだ。胴にするためにくり抜くのはその後。さらに5年ほど自然乾燥をさせておく。そしてお客さんの注文に合わせ、削りや塗装等を行い仕上げていく。
 同時に皮部分は別の工程で製作されており、こちらも材質にこだわりぬく。和牛、その中でも貴重な赤牛の皮だけを選別する。
 こうした生産方法のため、大量生産とは無縁の世界だ。「顔の見える商売を基本にしています」と言うとおり、受注生産が全体の9割を占めている。
「押し付けの商品ではなく、お客様の希望に合った商品を作るのがうちの会社の特色です」と弓田社長。
 たとえ同じ大きさの太鼓でも、使用用途によって求められる音は変わってくる。徹底的に要望を聞き出すことにより、お客さんが思い描く音と物理的に出る音とを極限まで近づけていく。
 そのような体制だからか、お客さんも使用者からの紹介や、実際の演奏を聞いて問い合わせてくる人が多いのだそうだ。
 触れ合いが生まれることで、信頼が生まれる。多少高くついたとしても、一人ひとりが本当に求めるものを提供していくことが、末永い支持を生み出す。
 現在工房が擁する職人は17、8人程。先代から教わった技法を忠実に守りながら製作を行っている。そうすることが伝統を守ることにもつながっていく。
 職人一人ひとりの個性を出すような世界ではないので、いかに求められるものを作り上げるかが全てだ。様々な要望を取り入れることになるが、若い職人達も日々経験を重ねながら技術を高めている。

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