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伝統を受け継ぎ、新たなる可能性を拓く

三春人形の魅力

写真:流麗なフォルムと独特の表情が魅力の三春人形。今回掲載の写真は、高柴(たかしば)デコ屋敷、大黒屋(だいこくや)さんにお願いし、撮影した。

取材ご協力:三春町歴史民俗資料館 平田禎文(さだふみ)さん、デコ屋敷本家大黒屋 21代 橋本彰一さん

高柴デコ屋敷 大黒屋
郡山市西田町高柴字舘野163
年中無休
TEL 024-981-1636 / FAX 024-981-1637
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 三春人形は江戸時代より続く郷土民芸品だ。東北地方では珍しい和紙を使った張り子人形で、その愛らしい表情や動きのある造形が特長。今回は実際に制作にあたっている職人さんを訪ね、その魅力や可能性に迫った。なお、歴史上の流れを鑑み、三春駒、三春ダルマについても言及する。

大黒屋の熟練職人の一人。制作は全て手作業で行われる。
写真は天狗を作っているところ。この工程は窓の外から見学可能だ。
大黒屋では若手職人も多数活躍中。

 三春を代表する郷土玩具として、多くの人々に愛されてきた三春人形。お正月のダルマや干支など縁起物を始め、歌舞伎や舞踏などをモチーフにした、豊かな表情と躍動感を持った人形が制作されている。

江戸から三百年の歴史

 この歴史は古く、江戸時代に三春藩領であった高柴村(現在の郡山市西田町高柴)にて制作が開始されていたと言われている。仙台の堤土人形の技法を基に、この地独特の作法を生み出した。当時、東北地方の人形の多くは土人形であったが、三春人形は和紙を用いた張り子の人形だ。貼り合わせによる複雑な造形など、紙だからこその利点を生かし、独創的な人形を次々と生み出していった。手間こそかかるものの、その分表情や動きに味が出て、美しくもユーモラスで愛らしさのある作品が仕上がる。

三春ダルマと三春駒

 これまでに制作に使用されてきた木型は数千点程あるとされる。当然数千点の作品を制作しているわけではなく、その時代の需要に応じた制作が行われてきた。歴史を辿ると、明治時代以降には、ダルマや縁起物ばかりを制作していた時期もあったようだ。
 これには文明開化の中で人型の人形に見られた時代風俗が受け入れられにくくなったことや、洋紙の流通によって和紙の入手が難しくなったこと、戦争による経済状況の悪化など、様々な要因が考えられる。ダルマや縁起物など安定した需要のある商品は、制作者を支えるものでもあったのだ。
 また、三春の地に古くから伝わる三春駒も、三春人形と並び大切に制作され続けてきたものだ。坂上田村麻呂にまつわる伝承が残されており、古くは馬の生育を願うものとして、現代では子授け、子の健康を願う郷土玩具として親しまれている。

人形への芸術的価値

 やがて厳しい環境からも脱却し、三春人形は高い芸術的価値を認められるようになった。職人から職人へと代々受け継がれ、発展しながらここまで来た。木型の何点かは県の重要文化財となり、高柴デコ屋敷の「デコ屋敷資料館」にて保存されている。
 現在、人形制作が行われているのは4軒のみ。数自体は減っているようだが、若い職人さんも多く、伝統が継承されていることが感じられる。今回は「大黒屋」を訪れ、制作への想いをお聞きした。

三春駒

 三春駒は現在デコ屋敷がある高柴村の発祥。「子育木馬(こそだてきんま)」と呼ばれ、1838年頃には流通していたと考えられている。坂上田村麻呂が大滝根(おおたきね)山の大多鬼丸(おおたきまる)と戦った際の伝承により、この地で作られるようになったと言われている。
 この三春駒という名前だが、「駒」とは馬のこと。かつて三春藩領内は、馬の産地であり、江戸時代には藩が馬産を推奨し、三春城下にて馬市が立つほどであった。馬産農家は馬の生育を願い、木馬や絵馬を馬頭観音などに奉納した。三春駒はそのような時代背景で作られ続け、やがて人間の子への願いに変化していったのだ。
 なお、現在は黒駒の他に白駒も存在する。こちらは老後のお守りとして作られている。

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