安積国造神社 秋季例大祭 - 郡青ひなたweb - Page 2
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地域の人達が結束する、一年に一回の行事

普段は荘厳な雰囲気の神社も、この日は熱気に溢れかえる。祭りの興奮が最高潮に達する時だ。
大勢のギャラリーの中、神輿は一気に階段を駆け上がる。
子供達による八幡ばやしの奉奏。28日には安積幼稚園お遊戯室で「お囃子くらべ」として、各町会の子供達が練習の成果を見せる。
このページの写真は安積国造神社ご提供。

 現在の秋季例大祭は9月27日から29日の3日間行われる。初日は式典、直会(なおらい)の後、神輿が西ノ内や方八町(ほうはっちょう)、芳賀など少し離れた場所を中心に回る。

 28日は山車祭り。子供が中心の行事で、山車が出てそこで各町会の子供達が八幡ばやしを奏でる。神社には八幡ばやし保存会があり、そこで春夏に講習会を実施。春秋のお祭り等で子供達に奉奏をしてもらったりと、積極的に子供達へ文化の伝承を行なっているようだ。

 そして29日。この日は神社の本神輿3社と、30余りの各町会の神輿が還御する。神社の参道を中心に南側を上町、北側を下町とし、毎年交互に還御を行なっている。午後7時より駅前大通りを通行止めとし、煌びやかなビルの間を勇壮な神輿が練り歩く。取材時の2011年には28町会33社の神輿が還御した。
 駅前大通りにはずらっと屋台が並び、普段車が盛んに行き交う道路では各町会の担ぎ手と観衆の熱気がぶつかり合う。都会的な郡山市街地にも地域に根付いた文化があり、大切に保たれてきた人々の繋がりがあることを再確認させられる時である。

 各町会には若連や青年部があり、お祭りを伝承していく形式が整えられている。担ぎ手はだいたい高校生くらいからで、若い熱気に溢れている。 町の中心はビルが立ち並び、郊外等に移り住んでいる人も多いことから、担ぎ手の確保に苦労する町会も出てきた。それでも変わらず継承されているのは、「この町に住む人々の想いが強いから」と宮司の安藤智重さんは語る。郡山は昔から商業都市であったため、排他的な所が少なく、明るい気風があり、人の繋がりを大切にする土地だ。それゆえ、新しく来た人も町会で仲間として歓迎され、人数を保ってきた面もあるのかもしれない。
「2011年(※取材当時)はやはり特別な祭りになった」と安藤宮司。開催自体が危ぶまれていたようだが、「神輿を担いで復興を祈願したい」という意見が多かったのだと言う。各町内が全体として一つにまとまり、結束していった。
 そもそもこのお祭りは、外部に向けた観光的なものではなく、あくまでも神社への祈りの気持ちの中で行われるものである。担ぎ手に「見せ物」という意識はなく、皆祈りの気持ちを持ち、神輿を担ぐこと自体を大切にしているようだ。観光に特化していくお祭りが多い中、ここの祭りは本来の姿を保っている点も魅力の一つと言えるだろう。
「1年に1回、こうして皆が集まって地域の絆を確かめ合うことはとても大事なこと」と安藤宮司。
 特に震災後は祭りの果たす役割もより大きかった。
 9月29日の夜はいつまでも祭りの熱気が続き、神社には多くの人達が集まり手を合わせていた。

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