みずいろのまち 本宮をゆく - 郡青ひなたweb - Page 2
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Scene 4 清水

 本宮は水との関わりも深い地域だ。川の風景もいいが、小さな池や湧き水も趣深い。
 蛇の鼻遊楽園(じゃのはなゆうらくえん)の南方にある岩井の清水は、源義家の伝説が残る場所。奥州の戦いにて安倍貞任(あべのさだとう)を討つ道すがら、矢尻でここの岩を突いたところ、清水がこんこんと湧き出て、喉の渇きを癒したと言われている。

岩井の清水
本宮市青田字岩井

 岩角寺(がんかくじ)のそばにある椀田(わんだ)の清水も不思議な伝説が残る場所だ。この辺りの家では「おふるまい」をする際、必要な膳やお椀をこの清水にお願いしたという。そうすると翌朝、必要なだけ水面に浮いていたのだそうだ。
 ある時、不心得者が清水から借りた膳やお椀を返さなかったため、清水の怒りに触れ、大量の水が溢れて洪水になった。それ以来、膳やお椀は出なくなってしまった。
 現在この辺りの地名である「和田」は、これに由来していると言われている。

椀田の清水
本宮市和田字刑部内

本宮駅近く、旧国道にて。お祭りで最も賑わう場所だ。
まだ明るい時間に各地区から出発する太鼓台。本宮では北部・南部地区の太鼓台を先囃子と呼ぶ。
旧国道(県道355号)沿いの商店街にて。屋台が立ち並ぶ中を先囃子がいく。
橋に並んだ太鼓台。北部、南部、東部の3台。かつての二本松藩の領域で見られる提灯を灯した太鼓台は、複数台並ぶと格別美しい。

Scene 5 お祭りの情緒

 本宮は歴史が感じられる町並みゆえに、お祭りの雰囲気も良く似合う。
 毎年8月中旬に夏祭りが、10月下旬には秋祭りが開催される。特に秋祭りは涼しい風の中、きらびやかな提灯を付けた先囃子(さきばやし)・太鼓台が曳き回され、屋台の光と相まって大変に綺麗だ。
 このお祭りは本宮小学校近くにある安達太良神社の秋季祭礼。10月の第4金曜日からの3日間行われる。筆者が撮影しているのは日程の都合上、金曜夜が多いが、本祭り(土曜)の昼間も、女性だけの真結(まゆみ)女神輿や男衆による裸神輿など見どころが多い。

 また、11月3日に浮島(うきしま)神社、高松(たかまつ)神社など市内6ヶ所の神社で行われる太々神楽(だいだいかぐら)も見ものだ。
 笛の音に合わせ独特の所作で行われる舞と、それに見入る人々の姿は、その土地で培われた郷土文化の深さを教えてくれる。

高松神社の太々神楽。旧・白沢村はもちろん、郡山市の中田町・田村町など阿武隈高地沿いの広い範囲で、この日太々神楽が披露される。

浮島神社の太々神楽についてはこちらの記事をご覧ください。

Scene 6 桜

 福島県はどこに行っても桜が美しい県だが、本宮市にも桜の名所が多数ある。
 旧・白沢村、白岩地区にある塩ノ崎の大桜は県指定の天然記念物にも指定されており、推定樹齢は600年とも言われる名木である。

2016年4月15日撮影。年にもよるが4月中旬頃から徐々に見頃を迎える。

塩ノ崎の大桜
本宮市白岩字塩ノ崎

 同じく旧・白沢村内の長屋地区にある長屋神社も、桜が美しい場所だ。ちょうど県道118号本宮岩代線と116号二本松三春線が交わる場所にあり、通行する者の目を楽しませてくれる。
 この場所は秋の太々神楽も有名だ。浮島神社や高松神社の太々神楽も、長屋神社の神職・小松左膳が指導をしたとのことで、現在もお囃子の美しさや演目の多さで特出しているようである。

2013年4月19日撮影。県道の分岐点にある。

長屋神社
本宮市宮山27

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