城下町の風情残る三春の町中で行われる、熱気溢れる秋祭り
三春大神宮 秋季例大祭
写真:長獅子。このように何人もの若者達が獅子の中に入っている。
取材ご協力:三春大神宮氏子総代 佐久間晃祥さん
毎年10月スポーツの日前の土曜、日曜開催。
夜の還御等、本特集で取り上げたのは日曜の行事。なお、日曜夜は町中心部への車の乗り入れ不可。
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揉み合いながら進む長獅子と各若連の神輿。行列は大神宮へとゆっくりと向かう。
三春大神宮は、国道288号
江戸時代、三春藩を治めていた秋田氏・2代目藩主の
貝山地区の神明社の頃から、人々の信仰心の表現として祭りは存在し、現在地に遷座された際には社と一緒に移ってきた。明治時代に県社に昇格したことで三春の総鎮守となり、祭りもより盛大に行われるようになっていった。
三春は神社仏閣が非常に多い町で、ほとんどの地区(
秋の例大祭は毎年10月のスポーツの日 前日の日曜日を中心に行われている。三春中心部に位置する
各若連とも当日の朝には大神宮に揃い、お祓いを行いながら順々に町内を回っていく。各地の神社や主要な施設に立ち寄りながらなので、お昼を挟んで日中いっぱい時間を要する。
夜の還御は長獅子を出す町、2011年ならば新町の
最終的に大神宮へと戻っていくのは神社所有の神輿だけで、他の神輿は大鳥居の前で御霊抜きを行い、各地区へと戻る。これは神社所有の神輿には御神体が、地区の神輿には御札が入っているからで、御霊抜きは、御札を返還することで宿っていた神様を神社へお還しすることを意味する。
祭りを通して深まる地区の結束。楽しげな熱気に観客達も酔いしれる。
見所は、やはり行列の先頭で揉み合いを行う長獅子だろう。獅子頭は厄祓いになると信じられており、揉み合いながら進むことには、威勢をつけることで厄を祓いやすくする意味がある。2011年は、新町の
また、各地区の神輿は若連が運行しており、それぞれのパフォーマンスも見所だ。若連ごとに特色があり、本格的な神輿を擁さない地区は酒樽で樽神輿を作る。威勢のいい掛け声、気分を高揚させる笛や太鼓、通りを何度も行き来しながら観客と一体となり、徐々に大神宮へと進んでいく。
三春大神宮氏子総代である佐久間晃祥さんによると、神輿の運行は体力のある20〜30代が中心で、1ヶ月程前から各地区ごとに練習をしているという。当然仕事が終わってからになるので、長い時間が取れるわけではない。それでも皆楽しんで練習しているため、苦労という程のものではないと語る。
「神輿を出すことにより、年に一回地区の連帯を確かめることができ、祭りを通して各地区が、ひいては三春町全体が一つになっていくことが何よりも大切なんです」と佐久間さん。
この祭りから観衆が感じるのは、何よりも熱気だ。互いに熱くなり、楽しみながら運行する様を見ていると、「三春っていい町だな」という感想を持つ。地域の祭りとして定着し、観光的に開かれたものではないことが、かえってこの祭りにとっては良いのかもしれない。
「今後は子供達の参加をより多く期待し、ずっと続けていけるようにしていきたい」と佐久間さんは語る。
現在、小中学生による「
「還御の夜の盛り上がりを是非見に来てください。各地区の人達が持つ熱気が感じられるはずです」と佐久間さん。
当日は町中への車での立ち入りが制限されるが、三春駅が車を停めて置ける場所となる。町中心部までは少々歩くため、観光目的で町外から向かうには不便かもしれないが、熱気溢れる長獅子、神輿は必見だ。
普段の情緒ある三春の街並みが、この日ばかりは違って見える。観光客にとっては、きっと新鮮な三春の魅力に出会える一日となるだろう。
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