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郡山市郊外の風景

郡山の魅力の一つとして、車で少し走るだけで自然に囲まれた美しい風景を見られることが挙げられる。しかもその景色は東北らしい大きなスケールで、奥深さも感じさせる。各地域特集に入る前の前座として、郊外の景色を紹介する。

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地蔵堂
33体の観音様

蛇骨(じゃこつ)地蔵堂

日和田(ひわだ)

 不思議な伝承が残る日和田の地蔵堂。
 その昔、日和田の城主、浅香左衛門尉忠繁(あさかさえもんのじょうただしげ)に「あやめ」という娘がいた。家来に安積玄蕃時里(げんばときさと)という乱暴者がいて、あやめを妻にしたいと思ったが許されず、怒った時里はあやめを館から追い出し、他の者を殺してしまった。
 あやめは館の近くの沼に身を投げ、大蛇に化身してこの地を荒らした。困った人々は人身供養として、村の娘を毎年1人ずつ差し出した。33人目の娘の身代わりに差し出されることとなったのが、松浦長者が長谷観音に祈ってもうけた子、佐世姫である。佐世姫は大蛇の前でお経を唱え、大蛇は蛇の骨を残して消え去った。その蛇骨を彫って地蔵尊を作り祀ると、日和田の村には平穏が訪れたと言われている。
 現在もお堂にはその地蔵尊が、裏手には人身供養で犠牲になった娘などを祀った観音が、33体ある。

藤田川
安積山公園。いずれも2009年4月13日撮影。市街地近辺では、例年この頃が満開の時期。

藤田川、安積山(あさかやま)公園

日和田町

 桜の名所の多い郡山だが、日和田町を流れる藤田川は隠れた名所の一つ。旧国道(県道355号)で日和田の商店街に差し掛かる南手前の陸橋を上がる。小さな川べりで、満開の花々が迎えてくれる。

 松尾芭蕉が訪れたと言われる安積山公園も、同町内で桜の名所の一つである。旧国道の松並木を抜けた先にある公園で、小高い丘に位置する。桜以外にツツジの名所としても知られている。

浄土松公園のきのこ岩。震災後に撮影。震災の影響で、写真のように一部が崩れて形が変わっていた。
逢瀬町で11月下旬撮影。雪が舞った後に虹が出た。この日、会津は雪、中通りは晴れであった。

浄土松公園

逢瀬(おうせ)

 西部の逢瀬町は山の麓で自然が豊かな地域だ。
 浄土松山は奇岩が突出していることで知られており、特に「きのこ岩」は珍しい。これは断層によって地層が分断されたことにより、風化に対する抵抗差が生まれ、長い年月の中で形成されたものである。白の凝灰岩と松のコントラストも美しく、「陸の松島」とも呼ばれる。
 一帯は公園の散策路となっており、駐車場から徒歩20分程度。

 逢瀬町内は冬の風景が特徴的である。郡山では冬の初めや終りに、よく風花が舞う。これは会津方面から雪雲、あるいは雪が風で飛ばされ、晴れているのに雪が舞う現象だ。逢瀬町は会津との境である山の麓に位置し、そのような気候の特色が顕著だ。

堂坂の白鳥飛来地。車で近くまで下りていけるが、くれぐれも驚かさないように注意したい。

白鳥飛来地

富久山(ふくやま)

 阿武隈川には白鳥の飛来地が多い。富久山町の堂坂(どうざか)も、その一つである。例年11月の上旬頃から徐々にやってきて越冬する。シーズン期間中だけ、県道73号二本松金屋線から土手へ下りていくゲートが開かれる。このような飛来地は、他に安積町の阿武隈川沿いなどにもある。
 周辺は稲刈り後、どことなく物寂しい雰囲気となるが、白鳥の姿は季節の情緒を感じさせ、風景に華を添えてくれる。

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