高速道路沿いの迂回路と合流し、頂上へ向かう道へ。ここからはいよいよ本格的な山道となる。沢沿いに続く道を進むごとに雪が深くなり、手付かずの自然に包まれていく。少なくなったとは言え、ケヤキの木々が川の流れの中で美しい。なお、現在の山道は新たに整備されたものであり、さらに旧道も存在するようだが、道筋を確かめることはできない。
しばらく進むと東側の一里塚跡がある。史跡としてしっかりと残されているのが嬉しい。(この塚は最初に築かれた塚であり、その後災害などにより道筋の変動があり、改められていた模様。佐藤
ここを過ぎると頂上は間もなく。峠の頂上付近には五百川支流の源流もあるが、送電線の工事で流れが変わり、現在詳しい場所は定かではないようだ。頂上からの見晴らしはよくないが、さらに上の鉄塔へと続く道があるので、そこまで行けば、猪苗代湖や連なる山々を見渡すことができる。
さて、猪苗代側へ下りて行こう。こちら側は電力会社の車も入るようで、多少は安定した道となる。ただ、普通車での走行は相当難しいだろう。自然保護の観点からも、やはり徒歩が望ましい。
少し下るとすぐに西側の一里塚だ。東側よりもさらにくっきりと残されている。
近くには楊枝村の力士が力試しをして松の木を折ったといういわれのある場所も。松の木自体は枯れてしまったようだが、側道を登ると修復した旨を記した祠が建てられている。
やがて少しずつ楊枝村の集落跡が見えてくる。どれもはっきり判別できるほどのものではないにせよ、所々に家を感じさせる跡が残る。この辺りには、よなき石という興味深い史跡も残る。子供の夜泣きが止まらないときにお参りした場所だということで、お礼にわらじをおさめたのだそうだ。今も石にわらじを思わせる跡が残っているのが面白い。
高速道路を走る車の音が聞こえてきたら散策も終わりだ。現代的な道の脇に立てられた離村の碑を眺めながら、時の流れにしばし想いを馳せた。
■ 今回の経路
中山宿→49号楊枝峠入り口→迂回(線路の横断不可)→山道へ→東側一里塚跡→五百川源流案内板→頂上→西側一里塚→力士力試しの祠→よなき石→楊枝村集落跡→楊枝村離村の碑
峠より西側は耶麻郡の猪苗代町。
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