清流 龍ヶ沢湧水(磐梯西山麓湧水群)
磐梯町の豊富な湧水を見られる場所がある。慧日寺跡の北にある、龍ヶ沢湧水である。湧水量は一日2000トンと言われ、巨石の間から湧出し、小さな池をつくっている。
ここは空海が請雨の法を修めた場所であると言われ、雨請いに利用されてきた。
江戸時代には会津藩の命による雨請いもおこなわれた。龍の落し子と五穀を供え、僧侶が請雨経を唱える。磐梯山頂、恵日寺、当地の3ヶ所で祈りが捧げられた。
雨請いの習慣は、太平洋戦争直後まで続けられた。
現地には礎石跡が残り、湧き出す水は飲むこともできる。昭和59年には「磐梯山西山麓湧水群」に選ばれ、貴重な環境が失われないよう保全されてきた。
慧日寺資料館の説明を参照すると、雨請いに使われた龍像権現像や龍の落し子、請雨経は今も残されているようだ。
湧水池へ向かうには、資料館脇の道路を北進する。山の入口までは車も通行できるが、山中は徒歩だ。
地図を確認すると、湧水池のすぐ北には林道北堰赤枝線(未舗装)が通っている。湧水池とは高低差があるため、林道側から入れるかは定かでない。
来訪のハードルが高い場合は、資料館庭園にある湧水を利用するとよい。龍ヶ沢湧水は、導水管で庭園に引水されているのだ。山の恵みを手軽に体感できる。
美しい滝の風景
滝は深い山々が織り成す自然美だ。山岳信仰が根付く当地では、古くは修行にも使われていた。慧日寺周辺には、かつて3つの不動滝があり、いずれも修業の場だったという。
3つの不動滝は、布藤の不動滝、上西連の不動滝、蛇追ヶ滝(不動滝)である。このうち現在確認できるのが、蛇追ヶ滝だ。
蛇追ヶ滝(不動滝)
蛇追ヶ滝は滝尻川の上流にある。磐梯山ゴールドラインから七ツ森ペンション方面へ東に入り、しばらく進むと林道(現在は遊歩道)の入口がある。
取材当時は砂利道を途中まで車で入れたのだが、現在は入口から徒歩のようだ。
距離は1キロ程度。途中木橋を渡るため、登山用の靴で臨みたい。
生い茂る木々や倒木が邪魔をし、滝の直下には残念ながら近寄れない。それでも山の奥深くで滝と向き合うことで、自然との一体感を強く感じられるだろう。
幻の滝
磐梯町は山深い地域であるゆえ、滝の数が多い。磐梯山ゴールドラインを走っていると、ところどころに滝の見どころがある。
中でも幻の滝は、道路からアクセスしやすく、見ごたえも十分だ。
駐車場から徒歩で5分程度。登山靴やハイキング用の靴さえあれば、比較的簡単に訪れられる。
この滝は、磐梯山から流れる川がつくる、名もなき滝の一つだ。付近でもあまり存在が知られていなかったため、登山者の間で「幻の滝」と呼ばれるようになった。
雪解けの季節は水量が多いようだが、取材した9月はいまひとつだった。
目立つ岩肌は23万年~25万年前に噴出した、赤埴山溶岩類の安山岩だと言われている。
水量が少ないときには、滝の直下まで入っていける。観光客が多い場所ではあるが、手軽に大自然を楽しめるだろう。
(参照:D-31.木屋川の滝(幻の滝) | 磐梯山ジオパーク)
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