湯口屋ぬくもりの宿

岩瀬湯本温泉

源泉亭 湯口屋

嵯峨天皇の時代に始まったという岩瀬湯本温泉。
今でも趣ある町並みが残り、旅人の心をくすぐる。
三月下旬、まだ小雪が舞い、村は冬の情緒に包まれていた。
「温かな宿に泊まりたい」
そんな思いで、岩瀬湯本温泉・湯口屋を訪ねた。

 

住所:天栄村岩瀬湯本温泉   電話:0248-84-2001
ホームページはこちら     ご予約はお電話で。
宿泊料金は平日9,150円~、土日・祝前日10,150円~(いずれも税込)
なお、入浴のみの利用も可。午前8時頃~午後8時頃までで、500円。

取材:2009年3月
文、写真:木村裕輔
取材ご協力:源泉亭 湯口屋

(掲載の情報は取材時のものです。情報が古い場合や、お気づきの点がございましたらご連絡ください。メールはこちら)

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羽鳥湖から国道118号線を下郷方面へ下っていくと、昔ながらの古い町並みに出逢う。
狭い道に古風な家々が軒を連ね、宿場の雰囲気が今もなお色濃く残る。岩瀬湯本温泉のある湯本地区だ。

この地区は「地域まるごと博物館」と銘打たれ、人々が生活の中で、その豊かな自然と古くからの文化を守り通してきた。
その中でも、今では珍しい茅葺屋根を持ち、特に情緒溢れる旅館が今回ご紹介する「源泉亭湯口屋(げんせんてい ゆぐちや)」だ。

ちょうど生活道路の曲がり角に位置する湯口屋は、木造建築の重厚な雰囲気を漂わせている。創業270年余。温泉という資源を宝物に、旅人や地域の人々と共に歴史を刻んできた。
かつては街道の旅籠として、また県南の人々の湯治場としての役割を担ってきた。
共同浴場は地元の人達のためのお風呂として開放されており、地域の生活に根ざした温泉でもある。

引き戸を開けて中へ入ると、女将の星真紀子さんと、若女将の寛子さんが迎えてくれた。
家族と少数の女性従業員のみで切り盛りされていることもあり、アットホームな雰囲気に安らぎを覚える。

外観からも想像はついたが、中に入ると改めてその造りに魅了される。黒光りする太い柱や、木の廊下や階段など、年配の方ならば幼い頃の我が家に帰ったような感覚を抱くのではないだろうか。若者にとっては、逆に新鮮そのものだ。

現在の建物は戊辰戦争の後、明治の初期に再建されたもの。大工さんからは「一度壊したら二度と同じものは建てられない」と言われるそうで、それだけ歴史的な重みがあるということだろう。
現代建築とは違い、改修や細かなメンテナンスには気を配る部分も多いそうだが、雪に強い堅牢さは、歴史ある建造物ならではだ。

私が泊まったのは「離れ」と呼ばれる一室。落ち着いた雰囲気の居間にはこたつが置かれ、冷えた身体を温めてくれる。広く取られた窓からは、障子越しに優しい光が差し込んでくる。
ありきたりな言葉ではあるが、都市生活に慣れきった身には「癒し」の空間だ。

部屋に置かれた小物の類いもどことなく風格がある。聞けば「裏の倉から出てきたもの」だという。長い歴史があるので、いろいろなものが集められたのだろう。旅館の中にはそういった小物が数多く飾られ、歴史ある雰囲気を盛り立たせている。

午後6時になると夕食の時間だ。囲炉裏のある部屋でいただけるのが嬉しい。期待どおり、その囲炉裏を使って魚が焼かれ、香ばしい匂いを放っていた。

この日のメニューはイワナの塩焼き、天栄産山菜の天ぷら、下郷産の蕎麦、鴨鍋、会津名物の馬刺しなど。地元の食材に徹底的にこだわっているというメニューは、どれも優しい味付け。
ちょっと贅沢すぎやしないかと思うくらいのメニューが提供されるが、あっという間にたいらげてしまった。囲炉裏を囲み食事をするという雰囲気が、料理のおいしさをより一層引き立たせてくれた。

さて、肝心の温泉だが、ここのお湯は女将さん自らが「いいお湯ですよ」と推す自慢の湯。
湯量がそれほど多くないため、露天風呂や家族風呂など特別なものはないが、男女別の小じんまりとした浴室がむしろ宿の雰囲気と合っている。

源泉かけ流しのお湯は、熱すぎず刺激もなく、さらりとしている。落ち着いた雰囲気で、優しい温泉だ。湯の当たりもよく、身体が程よくぽかぽかしてくる。
何回も入りたいと思えるのは、「いい温泉」である所以だろう。ここのお湯は胃腸、糖尿病などに効果があるらしく、今でも連泊で湯治に訪れる人もいるそうだ。

取材中、常連のお客さんと思しき人達が、親しげに女将さんに話しかけていた。
この宿の雰囲気と温泉ならば、リピーターが多いのもうなずける。四季を味わい、また温泉へ入りに来よう。そんな気持ちにさせられた。

取材、文:木村裕輔

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