山と川 雄大な景色に出逢う

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取材:2009年9月~2010年11月
取材ご協力:南会津町総合政策課、南郷総合支所振興課、伊南総合支所振興課、舘岩総合支所振興課
文 、写真:木村裕輔
お問い合わせ:南郷総合支所振興課(TEL 0241-72-2900)、伊南総合支所振興課(TEL 0241-76-7715)、舘岩総合支所振興課(TEL 0241-78-3330)
(掲載の情報は取材時のものです。情報が古い場合や、お気づきの点がございましたらご連絡ください。メールはこちら)

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南郷スキー場から

川は人々の暮らしと密接に結びついてきた。耕作や漁、移動、運搬などでその恩恵を享受する一方、洪水への対処など、人々にとっては感謝と畏敬の念を抱く対象であった。
南会津町西部地域の景色を見ていると、やはり川の存在に最も心を惹かれる。ひとけのない山中の渓谷もいいが、川沿いに広がる何気ない集落の景色の中に、川と共に歩んできた人々の歴史が感じられるような気がする。 
現在は鮎やイワナなど川釣りの拠点として、多くの観光客を惹きつける場所でもある。
只見(ただみ)川の支流であり、西部地域を南北に流れる伊南(いな)川を中心として、川の風景を辿っていく。

伊南川の流れ

国道沿いからも雄大な景色が眺められる

伊南川 下山付近伊南川

只見川の支流で、西部地域最大の川。尾瀬に近い檜枝岐(ひのえまた)村の山中に流れを発し、南会津町内で舘岩(たていわ)川と合流し、伊南川となる。屏風岩などの景勝地だけではなく、美しい風景が随所で見られる。7月中旬から鮎釣りが解禁になり、多くの人が訪れる。

写真:国道289号下山付近、和泉田入口

 

※重要※
伊南川は集中豪雨の影響により、現在写真のような風景が見られない箇所がございます。地域の一日も早い復旧をお祈りいたします。

屏風岩上流から国道沿いに伊南川(内川までの河川名は檜枝岐川)を辿っていくことにしよう。
檜枝岐村との境界を越えると見えてくるのが、景勝地の屏風岩だ。(右写真) この辺りは急流で、そそり立つ岩と共に力強い風景を見せる。
紅葉時は特に素晴らしい。

 

古町付近 古町付近 冬

ロックシェッドをいくつもくぐり抜け、流れを右に左に、せわしなく越えていく。伊南の中心地・古町(ふるまち)まではしばらくの距離だ。
どこを取っても素晴らしい景観で、撮影場所は迷いどころ。今回は古町の大イチョウ付近を選んだ。(上写真) 右側の写真は12月に撮影したものだが、やはり雪国、雪のある景色もよく似合っている。

蛇岩南郷方面へ北進し、国道289号・田島への分岐の手前を左に曲がると、県道沿いに蛇岩(じゃいわ)がある。(右写真)
大蛇が岩に化けたという伝説が残る場所だ。南郷は北進するほどに只見方面の山々を望むことができ、川の景観と相まって美しい。
さゆり荘の脇を入る林道(※注)を進むと宮床(みやとこ)湿原入口へと至る。その途中の南郷スキー場からの風景(上表題写真)が、とにかく雄大であった。

※本稿で紹介する林道の類は、冬期間の除雪がされないため、自然通行止めとなります。
冬期間は国道などの主要道、住民の生活道路のみが通行可能とお考えください。

 

西根川、鱒沢川の流れ

手つかずの渓谷美。深山に広がる癒しの楽園

舘岩地域では、舘岩川が国道352号に寄り沿うように流れている。そちらも充分綺麗だが、今回は国道から南へ入り、支流で渓谷美を味わうことにした。

歓満の滝まずは木賊(とくさ)温泉方面へ向かう道の脇を流れる西根川だ。
帝釈(たいしゃく)山から田代山を結ぶ尾根の北斜面が源流。景勝地の歓満の滝(左写真)は、庶民の歓びが満たされるよう、願いを込め命名された。
ささやかながら美しく心地よい響きは、まさに名前のとおり。見る者に癒しを与えてくれるだろう。

 

西根川渓谷木賊温泉を越えてしばらくで、檜枝岐方面への大規模林道が右手へ分岐する。左側の道は山の麓で行き止まりになるが、山が深くなるほどに川の流れも美しさを増す。(右写真)

 

鱒沢渓谷国道へ戻りしばらく東へ進み、鱒沢(ますざわ)川沿いの林道へ入ろう。
この道は栃木県日光市の湯西川(ゆにしがわ)へ抜けており、非常に多くのオフロードバイクが訪れる。道が抜けている分、西根川よりも長く渓谷美が味わえる。(左写真)
ただ狭い砂利道の上、通行量も比較的多いため、くれぐれも注意の上、走行を。(大きめの車、地上高の低い車は走れません)

 

鱒沢渓谷今回の撮影は10月の下旬。峠へと高度を上げる手前が特に見所だ。(右写真)
なお、林道の冬場の走行は不可能。また、路面状況は天候等で大きく変わるため、車では特に無理はなさらずに。(筆者も峠手前で引き返しました)

 

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山と湿原

山は古くから地域のランドマークであり、時に信仰の対象でもあった。現在はトンネルが峠を貫いていることも多いが、狭い山道を奥へ奥へと入っていくと、圧倒的な自然に包まれ、どことなく恐れを抱き、同時に神聖な領域へ立ち入っていることを実感する。
南会津町の中でも西部地域は特に山深く、そういった場所が数多く残されているように感じられる。
今回の取材では田代山に登ったが、その時に感じた畏怖の念と、やっとの思いで頂上に辿り着いた時の高揚感は忘れられない。山国だけに、西部地域には数多くの見所が存在する。ほんの一端になってしまうが、紹介していきたい。

田代山 小田代湿原尾瀬国立公園 田代山

南会津町の南端で、栃木県日光市との境界にある山。
県道350号栗山舘岩線沿いにある猿倉(さるくら)登山口からは、山頂の湿原まで約2キロ。他に帝釈山を経由し、檜枝岐側の馬坂(うまさか)峠登山口から登ってくることも可能。いずれも駐車場までは砂利道で、冬場の走行は不可能だ。
湿原は初夏のワタスゲの美しさが格別。
なお、田代山と帝釈山は、平成19年8月30日に尾瀬国立公園に編入された。

写真:田代山山頂手前の小田代湿原。9月下旬撮影。

 

春の水芭蕉、初夏を彩るひめさゆり
         四季の彩りに山の魅力を知る

田代山(上表題写真)へは舘岩地域の湯ノ花温泉から入った。
登山口までかなりの高さを登る。猿倉登山口の時点で1375m。田代山山頂がおよそ2000mだ。2時間程度で登れるが、急な道が続くので、不慣れな人は休みながらの方が賢明。また、高い山ゆえに天候の急変に要注意だ。

駒止湿原駒止湿原は水芭蕉の季節に訪れた。(左写真)
とは言っても高冷地。ここでは5月中旬から下旬頃となる。
ここは南会津町と昭和村にまたがる広大な面積に及び、10あまりの湿原が見られる。そのうち大きなものは3つ。木道が整備され、たくさんの人が散策する。

 

駒止峠旧道なお、アクセスに使う国道289号旧道からの眺めも良好だ。
現在、国道は長いトンネルで結ばれた快適な道になったが、九十九折れの狭い旧道も趣があってよい。
特に南郷側からはところどころで遠く山を見渡せる絶景が広がる。(右写真)
写真は11月の初め。既に少々の積雪があった。

 

高清水自然公園 高清水自然公園

初夏に可憐なひめさゆりが見られる高清水自然公園は、6月下旬に訪問した。(上写真)
園内にはオートキャンプ場や広場も整備され、アウトドア派にはもってこいの場所だ。

宮床湿原宮床湿原へはさゆり荘横の林道を入り、登山口から15分程の距離だ。(林道は狭いので注意)
訪れたのは10月下旬。ちょうど秋の盛りで、草の紅葉を楽しんできた。小さいが、自然との一体感を味わえる場所だ。(左写真)

 

※いずれの場所も冬期間の訪問は不可能です。

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名所など

前沢曲家集落茅葺屋根の古民家が立ち並ぶ一帯

前沢(まえざわ)集落

国道352号、舘岩中心部から西へ進むと前沢集落の入り口が見えてくる。
ここは中世に会津武士が拓いた集落で、明治40年に火事で家々が消失、その際に各戸が同一大工の集団により、エル字型をした「曲家(まがりや)」の形態で建築された。 これは雪下ろし・雪かきの利便性を考え、玄関を前に出す形にしたからだという。
現在も、茅葺屋根の家々で人々が日々の生活を営んでおり、飾らない雪国の原風景を垣間見ることができる。その文化的貴重さが認められ、平成23年6月には重要伝統的建造物群保存地区に指定された。
なお、川沿いに整備されている「ふるさと公園」では、初夏に花しょうぶを見ることができる。

入場料:300円

ふるさと公園 前沢曲家集落

左:公園には水車小屋がある。11月中旬のこの日、水飛沫が凍っていた。 右:曲家資料館内部

久川城跡伊達軍の侵攻を防いだ名城跡

久川城跡

伊南川を見下ろす小高い山の上に立つ久川(ひさかわ)城は、1589年に南会津へ侵攻する伊達政宗の軍勢に備えるため、河原田盛次(かわらだもりつぐ)が築いたもの。結果、伊達軍の攻勢を防ぐことに成功した。後に蒲生(がもう)氏の会津支配のための一支城となり、その後廃城になったと言われている。
現在も空堀や土塁など(上写真)が残され、貴重な史跡であると共に、町民には憩いの場としても親しまれている。

久川城付近から古町を見るなお、南側駐車場へのアプローチに使う林道からは、古町の町並みを見下ろすことができる。(右写真)

 

古町の大イチョウ伊南小学校に立つ、地域のシンボル

古町の大イチョウ

樹齢800年余と推定されるこの木は、11月初旬に真っ黄色に色づく。
河原田盛光が建久年間(1190~)にこの場所に舘を築き、重臣を住まわせた際に植えたものだと言われている。
現在は伊南小学校の校地となっており、子供達を見守るように堂々たる佇まいを見せている。
地域の人達はこの木を降雪量の予知に使い、葉が一夜で散れば大雪、時間をかけてゆっくり散れば浅雪であると信じられている。
見頃が短いため、時期をよくチェックして訪れたい。今回は11月11日に撮影。前年よりやや遅い見頃だ。
一週間後にはすっかり散っていた。

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