久川城太鼓

新たな地域文化の創出に取り組む、伊南発・創作和太鼓グループ

久川城太鼓

取材:2010年10月
取材ご協力:久川城太鼓 会長 馬場英智さん
文 、写真:木村裕輔
お問い合わせ:南会津町 伊南総合支所振興課(TEL 0241-76-7715)
(掲載の情報は取材時のものです。情報が古い場合や、お気づきの点がございましたらご連絡ください。メールはこちら)

上写真:2010年10月17日に行われた「伊南川古町温泉あゆまつり」で「おんべの舞」という曲を披露した。

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地域の魅力を後世に残すため平成の世に生まれた和太鼓集団

久川(ひさかわ)城跡は伊南地区にある南会津町を代表する史跡の一つだ。
1589年に伊南郷の領主であった河原田盛次(かわらだもりつぐ)が、南会津に侵攻する伊達政宗の軍勢に備えて築き、防衛を果たした場所として知られている。
この歴史ある城をより強く外部にアピールし、後世に残していけるものをつくりたいという想いから、平成元年に誕生したのが久川城太鼓だ。竹下登内閣の元で行われたふるさと創生事業の後押しもあり、久川城のお膝元である青柳地区の若者が集まって組織された。

久川城太鼓形態は複数の和太鼓による組太鼓だ。バックに曲などは一切流さず、太鼓のリズムだけで音を作り上げる。
それだけに技量が問われるところだが、結成当時、世界で活躍する和太鼓集団「天邪鬼(あまのじゃく)」の渡辺洋一氏の指導を仰いだということで、きちんとした素養が作られた。今や一級品の腕前で、スピードやパワーのある演奏と、テンポの良い曲で観客を沸かせる。

曲のテーマは地元の歴史や風土に根ざしたものが多い。たとえば「合戦太鼓」は、久川城に伊達軍が攻めてきた先述の顛末を音にした勇壮な曲だ。他にも伊南川や、お正月にお札などの入れ替えを行う「おんべ」をイメージしたものなど、多彩なレパートリーを持つ。

会長の馬場英智(ひでとも)さんは、自分達の演奏を「鳴らすというよりも打つ感じ」だと表現する。実際に聞いてみると魂のこもった演奏に圧倒される。
「太鼓と戦っているような気持ちで、とにかく心を込めます。身体にドンと響くものがなければ、聞いている人も感動してくれませんからね」

太鼓で地域の輪を広げていきたい

現在メンバーは8人ほど。年が経つにつれ、皆仕事が忙しくなり、なかなか時間が取れないのが悩みどころだ。それでも週2回の練習は欠かさない。
公演は年に5、6回ほどで、9月に行われる南会津太鼓まつりや、県の太鼓フェスティバル、その他依頼があれば様々な場所で演奏している。
過去には経済産業省が主催する伝統芸能の大会や、静岡の浜名湖花博などでの演奏経験もあり、かなりの大舞台も踏んできた。
「太鼓を通し、地域の輪をさらに広げていきたいと思っています。人と人との繋がりもつくれますし、地域のアピールにもなると思います」と馬場さん。

久川城太鼓現在、地元の伊南小学校の3・4年生を対象に、定期的に太鼓の指導も行っている。
20年以上も続けば、立派な郷土芸能と呼べるのではなかろうか。太鼓を通し、子供達へ伊南地区の魅力を伝えると同時に、自己表現の場も与えている。
「勉強や運動が嫌いでも、音楽でなら自分を表現できる子もいるはずです。みんなどこかしら素晴らしいところがある。子供達に様々な可能性を教えていきたい。その中で、後継者も育ってくればありがたいことです」
メンバーの子供が入ってくるなど、地元では郷土芸能としてすっかり定着している。
伊南の新しい魅力として、地域の子供達の想いを乗せ、さらに盛り上がるのはこれからだろう。

取材、文:木村裕輔

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