青柳の笠踊り青柳の笠踊り

時代の変化を乗り越え復活した伝統芸能。
青柳から新たに地域の魅力を発信する。

 

取材:2010年10月、2011年2月
取材ご協力、写真ご提供:馬場一久さん
文 、一部写真:木村裕輔
お問い合わせ:南会津町 伊南総合支所振興課(TEL 0241-76-7715)
(掲載の情報は取材時のものです。情報が古い場合や、お気づきの点がございましたらご連絡ください。メールはこちら)

上写真:馬場一久さんご提供の写真。歴史的に最も初期のものと考えられる。地域の人々の楽しみとして、家々を回っていた。当時から二つ笠で踊るスタイルであった。

歴史的記述についての考え方はこちら

 

伊南(いな)川流域は、歌舞伎を中心に様々な伝統芸能が残る地域だ。青柳(あおやぎ)の笠踊りも、伊南で継承されてきた芸能の一つ。元は戦前・戦中における人々の娯楽であったといわれている。
当時はテレビも何もない時代。広い家の座敷で歌い踊ることで、人々は楽しみを分かち合った。ただ、これは神事ではないため、生活の変化による二度の中断を余儀なくされた。

人々の娯楽であったが故の変遷

一度は昭和30年代半ば。戦争が終わり日本が復興を目指す中、人々は自分達の生活で精一杯だった。特に子供の教育費がかさむ家庭が多く、娯楽まで目を向ける人が少なくなったのだ。
復活したのは昭和46年のこと。日本人の生活も豊かになってきた頃、当時の伊南村が指揮を執り、芸能祭りを復活させた。
笠踊りは青柳集落の他に、白沢集落や宮沢集落など、いくつか行う地区があったようだ。それぞれに踊りの特色があり、互いに切磋琢磨しながら10年程続いた。
しかし昭和50年代後半に再び情勢が変わる。冬の間の仕事が増えて人々が忙しくなったことや、スキー場のオープンなど、様々な娯楽の台頭等により、結局平成初期の段階で芸能祭りは中止となってしまう。
このように、人々の生活に左右されてしまう状況であったが、平成19年におよそ20年振りの復活を遂げる。それはやはりこの踊りが地元で親しまれたものであり、魅力を知っている人が少なからずいたからこそであろう。

生の歌声、演奏が特色
     再び地域の宝にしていきたい

笠踊りは現在は青柳地区だけのものとなってしまったが、昔の経験者を中心とし、やりたいという人を集め、本当に好きな人だけでチームを作った。中には20代の若手もおり、魅力を新たに発信すべく練習を重ねる。
形態としては、群馬の八木節(やぎぶし)を踏襲しており、頭にかぶる笠を加工して振り回しながら踊る。
両手に笠を持つ「二つ笠」であることが、青柳の大きな特徴の一つだ。市販の笠をそのまま使うのではなく、穴を開けて真ん中の部分をくりぬいて派手な装飾を施す。空気を抜き、振り回しやすくするための工夫なのだそうだ。
ただ、手も足もかなり激しい動きとなるため、長時間踊ることができないことが難点であった。
そこで、平成21年からは渦巻きの描かれた唐傘を回しながら踊る方法も導入した。2種類にすることで、7分程度のステージが可能となった。どちらも賑やか、かつ華やかで、見ている方も楽しくなってしまう。
また、踊りのバックが生の演奏であることにも注目したい。太鼓、鐘、竹のへらでリズムをとり、唄も自分達で歌う。
メンバーの馬場一久(いちきゅう)さんは「たくさんのものに囲まれたこの時代だからこそ、あえてものに頼らず、生で演奏するよさを知ってほしい」と語る。
実際、生演奏は音の響きがよく、観客にも喜ばれるということだ。
現在、定期的には8月に行われる郷土芸能の祭典「大桃(おおもも)夢舞台」、10月に古町(ふるまち)温泉で開催される「伊南川古町温泉あゆまつり」、季節毎に青柳地区で行われる「キャンドルナイト」、農協の婦人部の大会等に出演している。その他声がかかれば随時披露する。
「笠踊りがあることで、いろいろなところから声をかけていただけますし、多くの人・地域との繋がりもできます。それがゆくゆくは地域の活性化に繋がればと思います」と馬場さん。
「せっかく復活したこの郷土芸能を大切に、今後も継続することで、踊りによって地域全体を元気にしていきたいです」
再び地域の顔として根付くのはそう遠い話ではないだろう。

取材、文:木村裕輔

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青柳のキャンドルナイト(追加記事 2011年2月実施)

上記事上でもふれた青柳のキャンドルナイトにお邪魔してきたので、写真と共にご紹介したい。
この行事は年に4回、5月の連休、8月のお盆、10月、2月の連休期間に青柳地区で開催されている地域行事だ。
夕暮れ時から地形に沿ってキャンドルを灯し始め、訪れる人達を淡い光が楽しませてくれる。
連休中は青柳に帰省する人も多く、地域の絆を確かめ合うことはもちろん、普段は離れて暮らしている家族や親族への歓迎の意味も兼ねているのだそうだ。
キャンドルが灯されるのは県道沿いということもあり、通りかかった人が車を止める姿も見受けられた。
今後、青柳地区の新しい観光の目玉になっていくことだろう。

ところで、このキャンドル、てんぷら油の廃油を固めてろうそくにしているのだそうだ。
不要物を観光資源へ変えていく。エコの観点からも、興味深い取り組みと言える。

取材、写真、文:木村裕輔

 

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